豚暦

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人文書が引き起こす残酷な結末…会社が経営破綻してしまった理由とは? #経営破綻

 自己啓発書だらけの会社図書館に人文書を押し付けた話を、以前書いた。

会社に人文書を押し付けるという嫌がらせ - 豚暦 (hatenablog.com)

 では、その後、その会社はどうなったでしょう?

 自社WEBサービスを展開する部門の人が東浩紀を読んで着想を得て新たなサービスを展開したり、経営陣が玉木俊明のグロヒスを読んで経営の視野を広げたりすることは、当然、なかった。

 書物の寄贈後、1年も経たないうちに、会社は経営破綻した。マジの話である。

 「人文知」は経営の役に立たなかったらしい。

 経営破綻とは具体的にどういうことが、まで書くと特定されかねないので詳述はしないが、多くの従業員が職を失う羽目になったのは確かである。

 ここ数年で驚くべきホワイト企業化が進み、正社員は「こんなに給料もらっていいの?」などと贅沢な疑問を抱き、派遣社員は「俺の仕事が早すぎるのか業務が楽すぎるのかは知らんが、時間が余りすぎる」とて自称「社内ニート」を満喫したりしていた帝国が、あっけなく崩壊したのである。退勢が見えつつも盤石の支配に見えた武田勝頼分国の滅亡もかくやと思われる、あっけない終焉であった(厳密には終わっていないが)。

 

 今回は、会社の経営破綻が宣告された日の情景を簡単に書いていきたい。(もちろん企業秘密は書かない。ぼかすところはぼかす)

 

 いつも通りのある日のこと。上は突然立ち上がらずに言った。「○時から全従業員向けの重大説明会がTeams上で開かれます。全従業員は皆謹んで聞くように」

 経営がちょっとヤバめなことは皆知っている(ググると出てくる、「経営がやばい企業はこういう措置を取りましょう」の3ヶ条の方策も、全て会社は取ってきている)。

 「経営ちょっと厳しいです」という説明会もこれまで幾度か開かれてきた。まぁ、今回もそれやろ。という気持ちで、多くの従業員がTeamsの会議参加ボタンを押したはずだ。そして、経営破綻を告げられた。そして、その日の午後からの業務は停止するようにとの命令が出た(おそらく、経営破綻の処理に関係する部署の人は馬車馬のように働かされたはずだが)。

 業務停止令が出た後、従業員は思い思いの時間を過ごしていた。転職サイトを閲覧する者もあれば、同僚と雑談をする者もある。他の部署などに出かけて、会う機会が少なくなっていた旧知に会いに行く者もある。時間が潤沢にあり、相手も暇だと分かっているので、普段はあまり話す機会のなかった人と話す機会にも恵まれる。やはり旧交を温めている者が多かった。私もこの日は多くの人と歓談し、机の中の糖分接種用のお菓子を配ったりしていた。

 この会社では勤務時間中の喫煙は禁止されているのだが、「業務停止命令が出ているのだから、勤務時間ではない」という理屈で喫煙所に繰り出す猛者も現れた。自席の近くの電話の線を引っこ抜き、しれっと幹部社員の席に繋ぎなおすような、抜け目ない智恵者もある。

 大混乱は起こらなかったし、泣き叫ぶものもいない。敗戦時の帝国陸海軍のようなモラルハザードも起こらない。起こったモラルハザードらしきものは前述の無断喫煙くらいである(目的を失ったゲゼルシャフトの光景は、なんとなく降伏後の帝国陸海軍だなーなんて思ったが)。

 とにかく、皆、明るかった。「これからどうしよう」という気持ちと、「遂にこの時が来た」という気持ちの間で、皆、ハイになっていたのだろう。

 

 特に落ちがなくて申し訳ないが、ざっとこんな感じである……と書いたところで、オチを入れよう。

 はてなブログには、内容を読みこんでAIでタイトル案を出す機能が実装されている。試しにそれを使った結果、このようなタイトル案が出てきた。

 

破綻する会社: 人文書押し付けの結果は?

ビジネス衰退の陰謀: 人文書押し付けの効果

変革の種: 人文書押し付けがもたらした衝撃

 

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経営破綻後の会社に人文書押し付けの結果は?

会社の破綻と人文書押し付けの背後にある真実

人文書押し付けの影響で経営破綻した会社

 

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経営破綻!会社に人文書を押し付けた結果、社員逃亡…何が起こったのか? #経営破綻

人文書が引き起こす残酷な結末…会社が経営破綻してしまった理由とは? #経営破綻

驚愕の結末!会社図書館で起きた人文書押し付け事件の後、会社は経営破綻した…その衝撃の理由とは? #経営破綻

 

……嘘つくなや。誰もそんなこと書いてねぇよ。アホか、と思ったが、アホなAIの助けを借りて、空虚で無内容な記事にオチを入れることができたのは、ほかならぬ私である。曲がりなりにも、人文・社会科学の書を平均的日本人よりは多く読んできた人間がやることがそれである。やはり、会社経営に限らず、「人文知」は無力なのだ(大嘘)